光り輝く命~救ってくれたのは君だった~
涙すら出なかった。

まるで自分のことじゃないかのように、

父と母のやり取りを静かに見つめていた。

数時間に及ぶ言い争いの結果、

父があたしと兄を、

母が里奈を引き取ることに決まった。

子どもって親を選べないんだね。

残酷だよ。

里奈。お姉ちゃん、なにもできなくて

ごめんね。

自分のことでいっぱいいっぱいで、

里奈のこと考えてあげられなかった。

最低な姉だよね。



中学卒業ー。

それは大好きな里奈との別れを

意味していた。

それから出席日数の足りないあたしは、

慣れない受験勉強を始めた。

中学に行っても友達はいない。

それでもなんとか中学を卒業し、

志望校にも合格することができた。

うれしいなんて気持ちは微塵もない。

ただ、これからの生活への不安。

里奈と別れてしまう孤独感。

その二つの感情が

あたしの心を支配していた。
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