光り輝く命~救ってくれたのは君だった~
〇崩壊〇
「夏菜はお母さんの宝物よ。
お母さんは夏菜が大好きよ」
「夏菜が嫁に行ったら寂しいだろうな。
お父さんはずっと夏菜の味方だぞ。
夏菜は宝物だ」
そう言ってくれた家族は、もういない。
家族の絆って、
こんなにももろいものなの?
いつだってつらいときは
助け合ってきたじゃない。
昔みたいには戻れないの?
一度壊れたものはもとには戻らないの?
家族に亀裂が入り始めたのは、
あたしが中学2年生のとき。
父はもともと残業などで帰りが遅い。
遅くに帰ってきては母と喧嘩する毎日。
父と母の喧嘩で、あたしたちは目を覚ます
ひどいときには食器が飛び、
割れる音が聞こえる。
「あんたなんか殺してやる!」
そう言って母が、父の包丁を
向けたこともあったくらいだ。
喧嘩しないで……。
思っても言えるはずはなく。
毎日布団の中で脅えていた。
そんな生活がしばらく続き、
まるで毎日が地獄のようだった。
あんなに大好きだった家族が罵り合い、
傷つけ合い……。