光り輝く命~救ってくれたのは君だった~
「わかんない……」

あたしはそう答えた。

隼人が気になる半面、

男を信用できない自分がいた。




あれは暑い夏の日。

あたしは隼人と話したくて放課後

一人で待っていた。

「夏菜」

部活を終えた隼人がやって来た。

ちなみに隼人は写真部。

毎日風景や人物、卒業アルバム用の

写真を撮っている。

カメラを持つ顔は、

本当に子どものように無邪気だ。

「一緒に帰らない?」

あたしたちは二人で校舎を出た。

夕日がきれいだった。

帰り道、隼人が言った。

「夏菜は一人でなにか抱えてるだろ?

俺に話してくれない?」

沈黙が続く。

「あたしのこと軽蔑しない?」

「しねぇよ」

怖かった。

全部話して、

また前みたいに裏切られるのが……。

あんな思いをするのは、もうたくさん。

もうつらい思いはしたくない。
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