光り輝く命~救ってくれたのは君だった~
隼人は拳を握っていた。

「気づいたら病院にいてね。

さとみと百合が泣いてくれた。

必要だって言ってくれた…。

バカだよね、あたし……。

お兄ちゃんもお父さんも、あたしを

必要としてくれた。あたしはそんな人

たちにつらい思いをさせてしまったの…」

ふと見ると隼人は泣いていた。

「つらかったな……

こんな小さい体で一人で背負って。

俺、夏菜のつらい分、

今度から半分背負いたい」

そして隼人は、

あたしを抱きひめよつとした。

「やっ……」

あたしは反射的に拒絶してしまった。

「男の人が怖い……信用できないの」

あたしは小刻みに震える体を

両手で押さえる。

「それでもいい。俺は絶対裏切らない。

ずっと夏菜だけ見てる。

夏菜しか見えない。絶対幸せにする」

隼人の言葉はストレートに

あたしの胸へ突き刺さった。

「あたし帰る……」

あたしは一人で走り出した。

でも、本当はめちゃくちゃうれしかった。

うれしくてうれしくて

たまらなかったんだ。
< 56 / 96 >

この作品をシェア

pagetop