光り輝く命~救ってくれたのは君だった~
「夏菜さん……俺、里奈のそばにいたのに

里奈の苦しみに気づいてやれなくて……

本当にすみません」

祐介くんは公園の土に額をつけ、

何度も何度も地面に頭を打ちつけた。

「お願い。頭上げて」

ゆっくり顔を上げた祐介くんは、

土と涙でグチャグチャだった。

「俺、死んだほうがいいなかな。

里奈に会いてぇよ。

もう一度抱きしめてぇよ……」

「死ぬなんて言わないで。

里奈はそんなこと望んでないよ。

祐介くんがそんなだと里奈は悲しむよ」

「すみません……」

そう言って、祐介くんは鼻水をすすった。

里奈……あたしはあなたに

今なにをしてあげられる?

祐介くんと別れ、

あたしは隼人に電話をかけた。

声が聞きたかった。

「夏菜?大丈夫か?」

「なんとか……隼人の声が聞きたかった」

「俺、今から行くわ。終電に間に合うし」

この人はどこまで優しいんだろう。

彼の優しさが心に染みた。

そして、あたしは兄と父が泊まっている

ホテルに戻った。

兄も父も口をきかない。

抜け殻のよう……。
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