光り輝く命~救ってくれたのは君だった~
「里奈を引き取っていれば……」

父は何度も自分を責めた。

「俺さ、なんで前会ったときに

気づいてやれなかったんだろう……

里奈の兄貴なのに。兄貴らしいことの

一つもしてやれなかった」

自分を責め続ける二人を見ていると、

胸が痛んだ。

里奈の残した日記が頭に浮かぶ。

許せない。

里奈がたくさん苦しんだのに、

アイツらが生きていることが。

不公平だよ。

里奈が死んで、

アイツラはのうのうと生きている。

神様なんていない。

そう思った。




しばらくしてホテルのロビーに汗だくの

隼人がやってきた。

あたしは隼人を見た瞬間抱きつき、

胸の中で泣いた。

「もう大丈夫だから。そばにいるから……

なっ?好きなだけ泣いていいから」

隼人は優しく頭を撫でてくれた。

抱きしめてくれた隼人の体は

とても温かかった。

「ごめんね。ここじゃ話しづらいから」

あたしは自分の部屋に隼人を入れた。

里奈の日記と遺書を見せ、

真実を話した。

「あたし許さない。里奈だけが苦しんで

アイツらが生きているのが許せない。

あたし、

里奈になにをしてあげられるの?」
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