光り輝く命~救ってくれたのは君だった~
百合が小さくつぶやいた。
「相手はやっぱりあの人?」
あたしが訊くと、さとみは黙って頷いた。
さとみは年上の人と不倫している。
その人の子供なんだ。
「相手には言ったの?」
あたしは自分でも驚くくらい冷静だった。
「言った。産めるわけないから
堕ろせって……んで別れ切り出された」
「ひどい……」
百合が絶句する。
「さとみ、今何週目?」
「八週目……どうしたらいいかわかんない
産みたいよ……でも無理だよ」
あたしも百合も泣くことしかできなかった
こんなふうになるまで、
さとみの異変に気づいてあげられなかった
ずっとそばにいたはずなのに。
自分がひどくちっぽけな人間に感じた。
そしてさとみは静かに一枚の紙を出した。
中絶同意書。
もう相手のサインはしてあった。
「あたし最低だよね」
「バカ。そんなこと言わないでよ」