光り輝く命~救ってくれたのは君だった~
さとみの中ではもう決まっていた。

こればかりは、あたしたちには

なにも言えない。

そしてさとみは震える手で

同意書にサインをした。

同意書は涙でにじんでいた。

さとみの中絶の日にちは

三日後に決まった。

ちょうど学校が休みの日だった。

堕胎の苦しさなんて本人にしかわからない

でもさとみが苦しいと、あたしも苦しい。



そして三日はあっという間に過ぎた。

さとみの手術に付き添うつもりだったけど

断られてしまった。

当日、あたしは落ち着かないまま、

部屋のベッドで横たわっていた。

ウトウトしかけていたとき電話が鳴った。

ディスプレイには、〈さとみママ〉の文字

なんだかイヤな予感と胸騒ぎがした。

「もしもし!?夏菜ちゃん?

さとみ、そっちにいない?」

「来てないですけど……

今日手術ですよね?」

「あの子、病院からいなくなったの」

「えっ……」

お母さんは、電話越しだけどパニック状態

「いそうな場所当たってみます!」

そう言ってあたしは電話を切り、

すっぴんのまま服を着て

百合と隼人に電話をかけ、

手分けして探すことになった。
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