春はキミ
気がついたら保健室で

ふわりとカーテンが揺れた

「綾音」

低い声で私を呼ぶ

懐かしいこの香り

顔を見なくたってわかるよ

大好きだったもの

いや、今も大好き

「かおる」

あぁ、そんな泣きそうな顔しないで?

ごめんね

私はここにいるよ

「か、おる」

私の視界も歪む

そっと薫の頬を撫でる

その手を包み込む薫

あぁ、この暖かさ

ずっと変わってないのね
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