Treasure
「遠野のことが好きやねん! 
俺と付き合って!」


…耳を疑った。

この子何をゆうとるねん、なにを。
頭大丈夫やろか。

そう思っていたら、思い出した。
昨日の昼休みの出来事を。



ジメジメした蒸し暑い教室の隅でかたまっていた、男子たちの話。


”なぁなぁ、賭けしよーぜ!”

”賭け?”

”今からUNOして、負けたやつは、そのときに教室のドア開けたやつに告ること!”

”ええで! おもろそうやん★”

”やろ? あっ! 刹那もせぇへん?”

”俺ぇ? やるやる!”



…はっは~ん。
それで刹那が負けて、丁度運悪くドアを開けたのがあたしやった、みたいな展開か。
ありきたりか~。
関西人としては、あんまおもんないな。


とか、勝手に解釈をしてしまうあたし。
もちろん合っていると思いこんでいる、愚かな高2の女子だ。


「何かの罰ゲームやろ? 
昨日の昼休み、佐々木らとゆうてた。
しょうもないことに貴重なあたしの放課後、使わんとってくれる?」


眉間にしわを寄せて、もろにキレた様子を見せる。
それを見た刹那は、一瞬ひるんだ様子を見せたが、またさっきの顔に戻った。


< 6 / 81 >

この作品をシェア

pagetop