甘い香りの裏側に【短編】
2月14日
「…!!ゆーう!!優っ!」
「ん…詩穂ねぇ…?」
眠くて目をこする。
んー?ん!?今何時だ「6時だよ、おはよ♪」
まだ6時!?
そんな時間に起こさないでよね…
「ふわぁぁ。ん、じゃあ七時にまた起こして」
「だーめっ!ほら、立って!!顔洗って来なさい!!」
「えぇー、やだよ。詩穂ねぇ面倒くさい。」
「目腫れてるけど。そのままチョコ渡すの?」
「いーよ。別に………ん!?うそ!?」
「本当!とりあえず顔洗ってきて!」
「わっ、わかった!!」
目が腫れてるなんて最悪。
もー、昨日馬鹿ねぇが変な失敗ばっかするからだよう!!
「さっ、ここ座って!」
詩穂ねぇの部屋に呼ばれて行く。
「んと、あんまメークしてんのバレないほうがいいよね?だから、まずはこの色とこの色でー。」
「ちょっ、詩穂ねぇ何すんの!?」
「髪はゆるーく巻いちゃおっか?グロスは控えめ。あとはー、そうそうこれね。超いい匂いだからオススメ!」
詩穂ねぇは料理の才能はないけどメークやヘアアレンジとかの技術はかなりある。
「でーきたっ!ほら、可愛い♡」
鏡に写った私。
わぁっ、可愛くなってる!!
「詩穂ねぇありがとう!」
「いいわよ~、あらま、髪に時間取られたからもう7時20分よ?」
「やっば!!」
なんの準備もしてなかった私は慌てて用意する。
「いっ、行ってきまーす!!」
「気をつけて行ってらっしゃい!」
言わなかったけどうちは詩穂ねぇと私の二人暮らし。
丁度3年前に交通事故で両親を失った私達。
でも両親が私達に多額の貯金を残してくれたことと、この家のローンは払い終わっていたこと、そして詩穂ねぇが働き始める歳になっていたということもあって生活費に何ら問題はない。
まぁこのぽっかり空いた心の隙間は何をしても埋まることはないんだけどね。
でも私には詩穂ねぇやみっちゃん。
友達がたくさんいる。
だから私は寂しくない…はず。