葉桜ターニングポイント
「……っ」
気付いた時には、温もりがあった。
ぎゅぅっと、抱き締めてきた翠の腕。
まるで、心全体で抱き締められてるように、隅々から翠を感じる。
「…翠?」
背中から包みこんできた翠の顔は、すぐ隣りにあるのに、見えない。
今の心境を写しているみたいに。
分かるようで、分からない。
…ううん。
フリをしているだけで、
本当は分かっているのかもしれない。
見ようとすれば見える距離にいるのに、目を逸らしてしまうのは、
結局私に、自信がないから。
弱虫だから。
本能のままに動いて、私達は幸せになれるのかな?