葉桜ターニングポイント
「思い詰めた顔して、何を言うかと思えば…」
俯いていた顔を上げたら、翠は笑ってた。
「…人が真剣に話してるのに」
口を尖らせてみせても、私の言葉は翠に響かなかったとみえて、あっけらかんとしてる。
そして、絶対に離す素振りを見せなかった手が離れて、絵馬の群れに入ってしまった。
…え?話終わった感じ?
一方的に吐き出したまま。
拾ってもらえなかった想いが当てもなく浮遊する。
いや、いいんだけどさ。
別々の道を進んだ方がいいんじゃないかって気持ちに、変わりはないし。
翠の意見聞きたかったなーって思ってしまうのは、何か違うよね。
私は、伝えきった。
翠の手は離れた。
これが全て。
…なの?
「…みどりー?」
「あった」
痺れを切らした私が翠を追って覗き込んだのと、ほぼ同時。
晴れやかな横顔をした翠が、1枚の絵馬を軽く指で弾いた。