葉桜ターニングポイント
「……?」
あったって、なにが?
首を捻った私をチラリと見たかと思えば、イタズラをする子どもみたいに、スルスルと器用に絵馬を外す。
「あっ」
その指先を目で追ってハッとする。
「待って!ダメっ」
どうしてボンヤリしていたんだろう?
この場所で待っていた翠を見つけた時は、「気付きませんように」って、ヒヤヒヤしてたのに。
慌てて翠の手の中にある絵馬を奪いとろうと手を伸ばした。
だけど、いとも簡単に翠に交わされてしまった。
「よく言うよな。
こっそりこういうことしといて」
絵馬に並ぶ、見飽きた字体。
ー… 翠は合格する、絶対。
強気の願いが、そこにはあった。