葉桜ターニングポイント
「…私じゃない」
翠と鉢合わせたあの日、お参り前に結びつけた絵馬。
万が一見つかった時の為に名前は書かなかった。
だから、言い逃れできると思ってたのに。
「字体似すぎ。
そもそもさくら以外にこんな生意気な願いごと書くやつ、周りにいない」
「………」
我が強すぎたみたい。
私の個性が、しっかり絵馬に表れていた。
「…だって、合格しますようにだと、翠に力が足りないみたいなんだもん」
「捻くれてるじゃん」
「うるさーい」
バツが悪そうな私と、楽しそうな翠。
絵馬だけでなく、主導権まですっかり翠の手の中だ。