葉桜ターニングポイント
どうしたものかと思っていたら、
近くにいたカラスが羽根をバタつかせ何処かへ飛んでいく。
2人でゆっくり話せと、言われているような気がした。
「自分のことしか考えてない奴が、他人の為に願えない」
タイミングよく口を開いた翠は、男らしい顔をしていた。
いたずらっ子の面影は、もうない。
「俺はあの日にこの絵馬を見つけることが出来たから、受験に集中できた。
十分支えられたよ」
真っ直ぐに、私と向き合っていた。
翠が絵馬を見つけたのは、今日じゃなかったんだね。
「待ってて」と言われたあの日、私と別れた後、この場所で見つけたんだろう。
もしかしたら翠も、絵馬に願いを託したのかな。
少しでも力になれたのなら、見つけてくれて、よかった。
「…翠は他人じゃないよ?」