葉桜ターニングポイント
気恥ずかしくて、答えに迷って、
そんな突っ込みを入れてみる。
私にとって、翠はもう、他人じゃない。
結構大事なことだ。
まだまだ余裕のない子どもだから、他人の為に願うことはできなくて。
他人事に思えない翠のことだから、しつこいくらい神様に願ったんだ。
「へりくつ」
私の本心は届いたのか、届かなかったのか。
くるくるっと両手で絵馬を回して、翠が笑う。
いじけてみせる私に、からかうように近付き、ポンッと頭に手を乗せた。
「さくらって意外と面倒くさいよな」
「なっ」
覗き込んでくる視線が恥ずかしくて、プイッと目を逸らしかけてたのに、カチンときて翠に戻った。
「変なとこ細かいし、あげ足取るの大好きだし」
喧嘩へのゴング。
なのにどことなく空気が甘いのは、ゆっくりと下りてくる腕のせい。
翠の手は、もう私の腰に回ってた。