葉桜ターニングポイント
「それは俺だって思うこと!
…けどさ」
一拍置いて、翠が呼吸を合わせる。
想像もしてなかった。
翠にも、そんな風に思う時があること。
「起きてもいないことを不安がりすぎて、今が疎かになるの勿体なくね?」
一音一句こぼしてしまわないように、頭や体にも染み込ませていく。
次に迷った時、道標にするの。
同じ道で躓かないように。
今ある幸せにきちんと目を向けて、
手を繋いで、歩いて行けるように。
「突き放すようだけど、その時はその時」
正論は、時にグサッとくるけれど。
「まっ、積み上げてく物が大きければ大丈夫だろ」
簡単なことのように翠が笑うから、
根拠はないのに、揺ぎない安心感が生まれて、つられるように笑みがこぼれた。