葉桜ターニングポイント




「大事だってことは分かってるけど、マックきてから2時間。もうずっとこんな感じじゃん。

…完全放置は悲しいよ」




多分きっと、翠の中に私がいないって気付いてしまったから。



私がごねたから、仕方なく話はしてくれてるけど、言葉の奥に私がいない。



片手間に話されてる感覚。



翠の頭は今この瞬間も、受験のことでいっぱいなんだって伝わってくる…。





「私だって、邪魔したい訳じゃない。

だけど、せっかく一緒にいるんだもん。
少しくらい会話したいよ」





強気で切り出した本音。


言い終わってみると、弱々しい音に変わってしまっていた。



目線も下を向いていて、その先には握った
自分の拳が見えた。






「……ごめん」




僅かな間。


何を意味しているのか分からなくて、私は顔を上げられない。



つい、拳に力が入る。


視界は、抑えていたものが溢れ出るように、ボヤけて見えなくなっていく。






「やっぱり今は、会うべきじゃなかった」





< 4 / 34 >

この作品をシェア

pagetop