月を見上げて。
「星野さん。」
「え、た、田中君…何?」
「話があるんだけど。」
「うん…」
ーー「君さ、普通の人間じゃないよね。」
「え?」
「あの時…月光の力を感じた。月の姫だろう?」
「あの、田中…君」
「田中じゃない。…オニキス。」
「オニキス…」
メガネを外して…姿が変わった。
「それが、あなたの本当の姿…」
「ああ。そうさ。」
吸い込まれそうな…漆黒の瞳。
しかも、とても美形。今まで見たことがないくらい。
「なんで、私に姿を?」
「なんで見せたかって??それはもちろん、君を殺すから。」
「殺す…」
「そう。だから、見せてあげたのさ。何も知らずに死ぬのはかわいそうだろう?
ーーそうだなぁ。ただ殺すのはもったいないな。」
「なぜ…」
「なぜ殺すか?それは、君の力が僕にとって邪魔だからさ。」
「違う。なんで、地球を滅ぼそうとするの?」
「…君が知らなくてもいい事だ。
ーーとりあえず、私の城に来てもらう。」