雨の日
1
雨の日のほうが煙草がうまく感じられたのはひさしぶりに今日雨が降ったからだろうか。多分、違う。今日はあまり煙草を吸わなかったからだろう。時計は2時34分を刻んでいる。夏の暑さも一日で吹き飛び、もういきなり肌寒い。気持ちがいい季節は一瞬で過ぎ去り、暑さと寒さが交互にやってくる。世の中は、少なくとも僕のまわりの世界はいつもどおりただ過ぎていく。歴史は忘れ去られ、昔、そこにあった現実はもう誰も覚えていない。また壊さなければつくることはできないのか。完成することはない。それはあまりに数学的すぎる。全てが完璧に完成することはない。それは無に等しい。あったことは無くならない。しかし、終わらせることはできる。だがそれは僕たちがすることではない。そのうち終わる。明日世界が終わるとしても、という台詞は明日世界が終わらない前提で使われていたはずだが、最近は違うらしい。明日世界が終わるとしても、明日世界が終わらないように今日努力します。
まだ、雨は降り続いている。傘がないのでどこにもいけない。正確には行きたくないだけだ。行こうと思えば行ける。ただ行きたくないだけだ。雨が悪いわけではない。傘を持っていない僕が悪いのだが、だからといってどうしようもないので雨と傘のせいにする。だが、世の中には本気でそう思っている人もたくさんいる。と僕は思う。なかにはいるんじゃないか、と僕は思う。本気でそう思ってる人はいい人だと思う。そんなことを思いながら僕は傘を捜す。
まだ、雨は降り続いている。傘がないのでどこにもいけない。正確には行きたくないだけだ。行こうと思えば行ける。ただ行きたくないだけだ。雨が悪いわけではない。傘を持っていない僕が悪いのだが、だからといってどうしようもないので雨と傘のせいにする。だが、世の中には本気でそう思っている人もたくさんいる。と僕は思う。なかにはいるんじゃないか、と僕は思う。本気でそう思ってる人はいい人だと思う。そんなことを思いながら僕は傘を捜す。