恋愛感染エクスタシー
甘い旋律で痺れさせて
緩急をつけた、繊細なタッチ。
リズミカルな動き。
その指先で触れられたら、どんな感じがするんだろう。
耳に心地のいい旋律が流れる中、
白と黒の鍵盤の上では、長い指先が華麗に舞っていた。
きまぐれで通い始めたピアノ教室。
私についた先生は、笑顔が爽やかな好青年だった。
「それじゃ、次は紗也香さんが弾いてみてください」
「え?」
「……ちゃんと聴いていましたか?」
……いえ、全く。
口元に笑みを浮かべながら、涼しげな視線が先生から投げ掛けられた。