恋愛感染エクスタシー

だって、その指がいけないのよ。

エロティシズム満載な動きをするんだもの。


軽く口を尖らせてみたけれど、先生は構ってもくれなかった。



「はい、座って座って」



腕を引かれて椅子に座らされながら、

「もう一度聴かせて?」とねだってみたけれど。


駄々っ子をあやすような視線を送ってよこす。



……ダメ、なのね。



鍵盤の上に両手を置いてゆっくり息を吸い込み、破れかぶれで弾き始めた。


序盤は何とか弾きこなせたものの、途中から指が思うように動かない。


増えていくミスタッチ。

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