恋愛感染エクスタシー
「さっきから何?」
「……え?」
「俺の左手ばかり見てるだろ」
「な、なんで?」
「こっちが聞きたい」
「べ、別に見てなんか」
あたふたする私を横目で見て笑う蓮。
「ムキになるなって」
シフトレバーを握っていた左手が、私の頬に触れた。
弾んだ鼓動が蓮にも聞こえたのかもしれない。
私の異変を察知したように、意味深な笑みを浮かべた。
赤信号で静かに止まった車。
「茜」
蓮がこちらを真っ直ぐに見つめていることは分かった。