恋愛感染エクスタシー
潮風の誘惑

一瞬、それが誰なのか分からなかった。


太陽に照らされた海の光の乱反射のせいで、見えたのは、首から下の海パン姿。


やけに逞しい体つきにドキッとした。



「歩美は、みんなと泳がないのか?」


それが田辺くんなんだと声で分かって、心臓は更にヒートアップする。


「うん、私泳げないの」



同期入社のみんなで来た海水浴。


水着を着てはみたものの、私はもっぱら、ビーチパラソルの下で荷物番の役目だった。



「それじゃ、買い出しにでも行くか」



何気なく出された手を咄嗟に掴んでしまったけれど、そのまま手を繋いで歩き出すだなんて思ってもみなくて。

照れ臭さで、田辺くんの1,2歩後ろから手を引かれてついて行く。

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