恋愛感染エクスタシー

気付いてみれば、海の家とは逆方向に向かっていた私たち。


ビーチの人混みも喧騒も消えて、波音だけが耳を横切る。



「俺の背中、何か付いてた?」


ううん、と首をぶんぶん横に振った。


「そ? “本日のお買得品”とか“只今が旬”とかって書いてない?」

「え……?」



戸惑う私を見て、田辺くんがいたずらに笑う。



それって……


それなら――……



「冗談だよ、冗談」



再び歩き出した田辺くんの手をグイッと引っ張った。


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