恋愛感染エクスタシー
田辺くんが驚いて振り返る。
「……それじゃ、……くだ、さい」
俯いて、小さく告げる。
「……え?」
気持ちを奮い立たせて、今度は真っ直ぐにその目を捕える。
「本日のお買得品、ちょうだい?」
田辺くんの目がシュっと三日月のように細くなった。
――と次の瞬間、ギュッと引き寄せられた、腕の中。
引きしまった胸に顔をうずめると、田辺くんの香りが鼻をくすぐっては潮風にさらわれていく。
田辺くんは、私の髪に軽く口づけて囁いた。
「“売約済み”っと」
―fin―