麗雪神話~麗雪の夜の出会い~

姫巫女セレイアの一日は、夜明け前から始まる。

早朝―陽眠時(五時)。

召使の声掛けにより、彼女は広い自室で目覚める。

天蓋付きのベッドを抜け出すとすぐにある、マホガニーの立派な鏡台で、セレイアは一日の最初の身支度をする。

即ち、召使たちに見せても差し支えない程度に、髪の寝癖を整えるのだ。召使たちも心得たもので、彼女の身支度が済むまでは一定以上近づいては来ない。

彼女の髪はゆるやかに波打ってはいるものの、基本的にさらさらとした質感で癖がつきにくいので、さっとブラシを通せばOKだ。

それが済むと、召使の手により盆と水差しが運ばれ、セレイアは顔を洗う。そのあと、召使たちと共に、浴室へと向かう。

浴室には姫巫女たる彼女がいつでも湯を楽しめるよう、常に湯がひいてある。

王侯貴族と変わらぬ待遇だ。
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