麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
「ありが…とう…」

それがヴァルクスの、最期の言葉となった。



どう、とヴァルクスが倒れた。

そして、動かなくなった。

「い…や……」

セレイアは槍から手を離し、ぶるぶると震えながら後じさる。

護衛たちが安否確認に寄ってくる。

セレイアは何も見えず、何も聞こえず、ただ真っ暗な闇の中にいるようだった。

その闇の中、赤く赤く光る鮮血……。

ヴァルクスの―――――。




(約束は? ヴァルクス。
二人の未来は? ねえ、ヴァルクス、ねえ…)



自分は今、いったい、何をしたのか。




「いやぁぁぁぁぁ―――――――――っ!!!」
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