麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
ディセルは大巫女のもとへ行き、セレイアに長期休暇をやってほしいと頼んでくれた。

事情を察した大巫女は、ため息をつきつつ了承してくれたらしい。

もともと有給休暇を消化していなかったため、それは難しいことではなかった。

セレイアはディセルに付き添われて屋敷に帰り、部屋にこもって泣いた。

何日も何日も、寝食も忘れて泣き暮らした。

数日経つと、食事だけはなんとかとるようになった。

そして気絶するようにして眠ることもできるようになった。

七日目、セレイアはしょっちゅう心配して訪れるディセルに、心境を語ることができるようになった。

「どうして私は死なないのかしら。
ヴァルクスがいなくなったら、世界は終わると思っていたのに。
……終わらないのね」

セレイアにわかることはそれだけだった。

それだけ。

まだ先に何も見えない。

けれどディセルはこう言ってくれた。

「今はそれでいいよ。
十分だ。
よく、現実と向き合ったね」

「うん…」

頷くと、また涙がこみあげてきた。

激しい悲しみの波が、また襲って来た。



だが頭の片隅で、こんな時にそばにいてくれる人の存在が、ありがたいと思えた。
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