麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
2
ディセルが三人のもとに駆け付けた時、セレイアはフリムとクレメントを抱きしめて泣いていた。
その涙が、彼女の絶望が、ディセルの心を激しく揺さぶった。
そして…心の底から、彼の中に沸き起こってきたのは…怒りという感情だった。
―これ以上彼女の心を傷つけることは、相手がなんだろうと許さない。
ディセルの目が据わる。
忌々しい霧を映すその瞳に、強い力が宿る。
風で流す以外戦うすべがない、霧と言う魔性。
それをなんとかできないものか。
いや、してみせる。
自分はきっと“精霊”だから…できるはずだ!
「霧よ……形となれ!」
強い想いで彼が念じると、ぎゅん、と圧縮されるように空気が動いた。
霧がどんどん集まってくる…そして収縮する。
「何!?」
異常を察したセレイアの叫びと同時に、ふわあっと霧が消えた。
そしてかわりに、ディセルの目の前に、ひとかかえはありそうな巨大な紫色の甲虫が現れていた。
その涙が、彼女の絶望が、ディセルの心を激しく揺さぶった。
そして…心の底から、彼の中に沸き起こってきたのは…怒りという感情だった。
―これ以上彼女の心を傷つけることは、相手がなんだろうと許さない。
ディセルの目が据わる。
忌々しい霧を映すその瞳に、強い力が宿る。
風で流す以外戦うすべがない、霧と言う魔性。
それをなんとかできないものか。
いや、してみせる。
自分はきっと“精霊”だから…できるはずだ!
「霧よ……形となれ!」
強い想いで彼が念じると、ぎゅん、と圧縮されるように空気が動いた。
霧がどんどん集まってくる…そして収縮する。
「何!?」
異常を察したセレイアの叫びと同時に、ふわあっと霧が消えた。
そしてかわりに、ディセルの目の前に、ひとかかえはありそうな巨大な紫色の甲虫が現れていた。