麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
こういう輩を見ていると、殴り飛ばしたくなってくるのだ。
ちょっと槍でつついてやろうかと本気でセレイアが考えていると、不意に吟遊詩人の姿を見失った。
突然、消えた…ようにも見えた。
今まで目の前にいたのに、跡形もなくなっている。
「…ディセル、彼は!?」
「…いない、ね」
「…って、ここ、どこよ!」
きょろきょろとあたりを見回してみるも、目的地たる毒の霧の気配もなければ、吟遊詩人の先導に従って来てしまったので入り口まで帰る道もわからない。
案内するという言葉を鵜呑みにしてしまった自分をセレイアは呪った。
まさか森の奥地に取り残されてしまうなんて。
「あ~い~つ~!
最初から私たちを迷わせて森の奥で死なせる気だったに違いないわ! 何が案内する、よ! 敵よ、敵! 今度見つけたら容赦しないわよ!!」
セレイアはひたすら憤っていたが、ディセルの心境はそうではなかった。
硬い葉が茂りすぎていて、翼が傷つくためプミラを飛ばすことこそできないが、コンパスは持ってきているから、まっすぐに同じ方向に進めばいつかは出られるだろうからだ。それよりも、二人きりでの冒険がちょっと嬉しかった。
このまま迷ってしまっても、それもいい気がしたのだ。
そうすれば、セレイアが自分のことを見てくれるかもしれないと、ディセルは儚い想いをうっすらと感じていた。
自分でもばかな考えだとはわかっていたが…。
ちょっと槍でつついてやろうかと本気でセレイアが考えていると、不意に吟遊詩人の姿を見失った。
突然、消えた…ようにも見えた。
今まで目の前にいたのに、跡形もなくなっている。
「…ディセル、彼は!?」
「…いない、ね」
「…って、ここ、どこよ!」
きょろきょろとあたりを見回してみるも、目的地たる毒の霧の気配もなければ、吟遊詩人の先導に従って来てしまったので入り口まで帰る道もわからない。
案内するという言葉を鵜呑みにしてしまった自分をセレイアは呪った。
まさか森の奥地に取り残されてしまうなんて。
「あ~い~つ~!
最初から私たちを迷わせて森の奥で死なせる気だったに違いないわ! 何が案内する、よ! 敵よ、敵! 今度見つけたら容赦しないわよ!!」
セレイアはひたすら憤っていたが、ディセルの心境はそうではなかった。
硬い葉が茂りすぎていて、翼が傷つくためプミラを飛ばすことこそできないが、コンパスは持ってきているから、まっすぐに同じ方向に進めばいつかは出られるだろうからだ。それよりも、二人きりでの冒険がちょっと嬉しかった。
このまま迷ってしまっても、それもいい気がしたのだ。
そうすれば、セレイアが自分のことを見てくれるかもしれないと、ディセルは儚い想いをうっすらと感じていた。
自分でもばかな考えだとはわかっていたが…。