麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
3
「いいえ! 一人で勝手に行ってごめんなさい。一緒に、戦ってくれる…?」
「もちろんだ」
ディセルがセレイアの手をとり、立ち上がらせてくれる。
足は痛んだが、体重を片足と彼にかけているのでなんとか立っていられた。
二人が改めて甲虫たちに向き合うと、まるでそれがわかっているかのように、分身たちが一か所に集まりはじめた。
そしてみるみるうちにその質量が増し、巨大化していく。
息をのむ二人の前に、毒の霧の虫はその真の姿を現した。
それはまさに、二人が当初覚悟していた怪物の姿であった。
木々をなぎ倒す黒々とした巨躯。二人の二倍の高さ、四倍の横幅を持つ。その羽ばたきと共に響き渡る大音響の羽音は、思わず耳を覆いたくなるほどだ。
これが……毒の霧の姿。
「これなら攻撃が当たりやすいわ!」
セレイアは無事な右足をついて身を乗り出し、槍を構えて突進した。
が、確かに甲虫の体を貫いたはずの槍に、やはり手応えがまったくない。
「…うそ!? どういうこと!?」
隣のディセルが険しい表情で言った。
「…やっぱりそうか。
セレイア、きっとこれは見せかけの大きさなんだ。
確かに巨大化したように見えるけど、きっと攻撃が通じる“本物”はさっきの虫の大きさ分しかない。それを探さないと…」
「でも、どうやって…!?」
「俺が、やってみる」
「どうするの!?」
「もちろんだ」
ディセルがセレイアの手をとり、立ち上がらせてくれる。
足は痛んだが、体重を片足と彼にかけているのでなんとか立っていられた。
二人が改めて甲虫たちに向き合うと、まるでそれがわかっているかのように、分身たちが一か所に集まりはじめた。
そしてみるみるうちにその質量が増し、巨大化していく。
息をのむ二人の前に、毒の霧の虫はその真の姿を現した。
それはまさに、二人が当初覚悟していた怪物の姿であった。
木々をなぎ倒す黒々とした巨躯。二人の二倍の高さ、四倍の横幅を持つ。その羽ばたきと共に響き渡る大音響の羽音は、思わず耳を覆いたくなるほどだ。
これが……毒の霧の姿。
「これなら攻撃が当たりやすいわ!」
セレイアは無事な右足をついて身を乗り出し、槍を構えて突進した。
が、確かに甲虫の体を貫いたはずの槍に、やはり手応えがまったくない。
「…うそ!? どういうこと!?」
隣のディセルが険しい表情で言った。
「…やっぱりそうか。
セレイア、きっとこれは見せかけの大きさなんだ。
確かに巨大化したように見えるけど、きっと攻撃が通じる“本物”はさっきの虫の大きさ分しかない。それを探さないと…」
「でも、どうやって…!?」
「俺が、やってみる」
「どうするの!?」