麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
握り締めた槍から、ヴァルクスに教わった様々なことが蘇ってくる。

何度も手合せし、何度もこてんぱんにのされ、それでも、とても楽しかった槍の稽古。

投槍の技を伝授してくれたのもヴァルクスだ。



『ただ力いっぱい投げればいいってものじゃないんだ、何度言ったらわかる』

『だって……』

『狙いを定めて、その槍の力を最大限に引き出してやることが大事なんだ。だから手にした槍ごとに、違う投げ方をする必要があるんだよ』



セレイアが今手にする槍。

それは彼と稽古をしたあの頃から愛用しているものだ。

手にたくさんの豆をつくって練習した日々。

今こそ、そのすべてをかける時だ。



(ヴァルクス、見ていて)



(私、私、強くなって見せるから)



セレイアは槍を振りかぶると、狙いを定める。

じっと、視線でじりじりと焼け焦げそうなほどに、一点に集中する。

―そして。

「はぁぁ―――――!!」

セレイアは、槍を放った。
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