麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
ディセルが絶句していると、セレイアがふわりとほほ笑んでいった。
「旅に出るのでしょう? ディセル。――いいえ、雪の神、スノーティアス様」
「!! どうしてそれをっ!」
ディセルがついにセレイアに伝えられなかった自分の正体。
それを、セレイアは知っていたのと言うのか。
毒の霧の甲虫を倒した時に、彼の中に蘇ったのは、今までにないほどの記憶の波だった。
天上界と呼ばれる美しい場所で、彼は人間界からの祈りの声を聞いていた。
人々は彼をこう呼んだ。
雪の神、スノーティアス様、と。
その自分がなぜ今こうして地上にいるのか、その手がかりとなる記憶はいまだに一切蘇ってはいない。だが霧の虫をこれからも倒していくならば、いずれ蘇るであろう。
自分が精霊などではなく、神そのものであるならば、すぐにでも天上界に帰らねばならないと強く思った。
しかし帰り方がわからない。
その記憶を取り戻すならば、より強力な霧を追って旅立たねばならない、と思った。
危険な旅になる。
けれど、いかねばならないのだと。
「さ、ぐずぐずしてないで、行きましょ」
「旅に出るのでしょう? ディセル。――いいえ、雪の神、スノーティアス様」
「!! どうしてそれをっ!」
ディセルがついにセレイアに伝えられなかった自分の正体。
それを、セレイアは知っていたのと言うのか。
毒の霧の甲虫を倒した時に、彼の中に蘇ったのは、今までにないほどの記憶の波だった。
天上界と呼ばれる美しい場所で、彼は人間界からの祈りの声を聞いていた。
人々は彼をこう呼んだ。
雪の神、スノーティアス様、と。
その自分がなぜ今こうして地上にいるのか、その手がかりとなる記憶はいまだに一切蘇ってはいない。だが霧の虫をこれからも倒していくならば、いずれ蘇るであろう。
自分が精霊などではなく、神そのものであるならば、すぐにでも天上界に帰らねばならないと強く思った。
しかし帰り方がわからない。
その記憶を取り戻すならば、より強力な霧を追って旅立たねばならない、と思った。
危険な旅になる。
けれど、いかねばならないのだと。
「さ、ぐずぐずしてないで、行きましょ」