麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
『彼女と私は親友でした。けれど彼女はここを去った。生まれたばかりのあなたを託して。その理由は…』

『理由は!?』

『教えてあげません。自分でみつけてきなさい』

『自分で、みつけて、くる…?』

まるでセレイアがどこかに行くかのような言い方だ。

その意味を吟味するため黙り込んでいると、ハルキュオネが口調を変えた。

『セレイア、あのディセルと言う若者、ただ人ではありませんね』

『ええ、精霊ではないかと…』

『いいえ。精霊ではないでしょう』

『…え?』

『夢を見たのですよ、セレイア。予言の夢です』

ごくりと唾を飲みこむ。

ハルキュオネは結婚し姫巫女を辞してからも、たびたび夢で神より言葉を賜る稀有な存在であるのだ。

『夢の中に、ディセルそっくりのお姿で、スノーティアス様が現れました。かたわらにあなたを抱いて、言うのです。希望だと』

『ディセルが、……スノーティアス様…?』

『そんな二人に、闇の霧が迫ってきます。あなたたちは手を取り合って、それに立ち向かっていくのです。私はこれが叶えるべき未来だと…感じました』



『彼こそが我らが神、スノーティアス様です。
ならば姫巫女として、常に彼のそばで、彼を守りなさい』
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