麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
予言の発布が終わると、セレイアは巫女や神官たちを大勢引き連れて聖堂に移動する。ディセルもそれに加わって、周囲を観察してみた。

この国の神殿では巫女も神官も仕事内容に大差はないという。

若干神官は力仕事が多く、巫女は料理が多いくらいらしい。

神官の最高位は白神官で、神事、儀式を執り行い、会議にも出席する。今もセレイアのそばに二人の白巫女と白神官が付き従っている。その後ろは色もさまざまだ。

ディセルはおしなべて寡黙な巫女と神官たちの中で、一人浮いている神官がいたので興味を持った。

身にまとう神官服の色は黄色。一番の下っ端だ。さっきから小さな用事であたふたと走り回り、何もないところですぐこけている。会話もしどろもどろ、外見からすると二十代半ばにはなるだろうに落ち着きがない。だが元気いっぱいで好感が持てた。

「クレメント、今日は気を付けて受付に立つようにな」

「は、はいっ!!」

「クレメントっていうんだ」

ディセルが微笑みながら話しかけると、周囲がざわめき、クレメントと呼ばれた神官は頬を上気させてディセルを見た。

皆のこの反応に、少しとまどってしまう。

セレイアが神人だと紹介したせいか、どうも気さくに話しづらい。
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