麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
神事、儀式の準備を担当していた青巫女たちがさがり、現場監督をする紫巫女たちが数人、真剣な面持ちで白巫女の後ろに控える。

この聖堂には祭壇が三つあり、白巫女が右の祭壇、白神官が左の祭壇、姫巫女セレイアが中央の祭壇の上に立った。

ディセルも中央の祭壇に立ってみた。結構な高さがある。

準備ができると、聖堂の扉が開け放たれ、来訪者たちが次々と訪れた。

この神殿が一般の来訪者にできることは、四つあるという。

ひとつ、“祝福”。

聖水をかけ、邪を払い、運気をよくすること。

ふたつ、“祈り”。

共に祈り、神に声を届けること。

みっつ、“懺悔”。

神の代わりに巫女や神官が懺悔を聞き、罪を引き受けること。

よっつ、“浄化”。

これが説明されてもディセルにはよくわからなかった。とにかくこの浄化は、高位の聖職者たちにしかできないことなのだという。

国民はこれらの儀式をタダで行ってもらうことができる。

聖税としてあらかじめ国民より徴取しているため、そのようなことができるという。

タダであるためか否か、扉が開け放たれてよりすぐに人波がどっと押し寄せてきた。

「モハメル…さん。あっ、モハメラさん。はい、すみません。ええと、祝福をご希望、と…あっ! ペンが! ああっ」

入り口の受付でクレメントが奮闘している姿がほほえましい。受付用紙に大きなインク染みをつくったと、紫神官から叱られている。
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