麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
セレイアは息一つ乱さず、構えていた槍を垂直に立て、鷹揚にうなずきながら人々の歓呼の声に答えている。
「セレイア。君にこんな特技があったなんて、知らなかったよ。すばらしい」
ディセルが称賛すると、さも当たり前というようにセレイアは答えた。
「国を守るには、強くなきゃいけないもの。でも、私なんてまだまだよ。もっと強くなってみせるわ」
「国を守る、か………」
守りたいものが、ある。
そのことが、記憶のないディセルにはとてもうらやましい気がした。
「クレメント。聖杯を守ってくれたこと、礼を言います」
セレイアはクレメントに歩み寄り、にっこりとほほ笑んで礼を述べた。
「い、いえ、私は何も…」
あたふたと赤面するクレメント。
セレイアは、隣にいたディセルにだけ聞こえる声で囁いた。
「彼、奥さんに似て芯が強いわね」
「え?」
「彼がフリムヴェーラの夫なのよ」
「ええ~!!」
フリムはぽやんとしているが、強い信念を持った女性だ。ちょっと話しただけだがそれがわかった。完全に尻に敷かれているだろう彼の日常を想像して、ディセルは思わず笑ってしまった。
「セレイア。君にこんな特技があったなんて、知らなかったよ。すばらしい」
ディセルが称賛すると、さも当たり前というようにセレイアは答えた。
「国を守るには、強くなきゃいけないもの。でも、私なんてまだまだよ。もっと強くなってみせるわ」
「国を守る、か………」
守りたいものが、ある。
そのことが、記憶のないディセルにはとてもうらやましい気がした。
「クレメント。聖杯を守ってくれたこと、礼を言います」
セレイアはクレメントに歩み寄り、にっこりとほほ笑んで礼を述べた。
「い、いえ、私は何も…」
あたふたと赤面するクレメント。
セレイアは、隣にいたディセルにだけ聞こえる声で囁いた。
「彼、奥さんに似て芯が強いわね」
「え?」
「彼がフリムヴェーラの夫なのよ」
「ええ~!!」
フリムはぽやんとしているが、強い信念を持った女性だ。ちょっと話しただけだがそれがわかった。完全に尻に敷かれているだろう彼の日常を想像して、ディセルは思わず笑ってしまった。