麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
4
縛り上げた賊を神官たちが連れて行き、聖堂には再び静寂が戻った。
しかしこのことを大巫女に報告せねばならず、実際に刃を交えたセレイアが適任として席を外すことになった。
「今の時間、大巫女様は王宮にいらっしゃっているはずだわ。ディセル、行きましょう」
「王宮?」
「ええ。この国では、神殿と権力を二分する王家の方々の住まいよ。重要な会議はこの王宮で行われるわ。大巫女様は国王陛下の相談役を仰せつかっているの」
王宮は水晶宮(クリスタルパレス)と呼ばれ、ガラスをふんだんに使った美しい建物だという。神殿からはほど近く、十数分の距離らしい。
しかし神殿の外に出た瞬間、セレイアが異変に気付いた。
山の高い位置にある神殿から見下ろす街。
その一部に、紫色の影のようなものが見える。
とても小さい、注意して見ていなければ見逃してしまいそうな影だ。
しかしセレイアは見逃さなかった。
それは彼女が間違いなく、街を守ろうと常に気を配っているからだろう。
「大変! “霧”だわ!!」
「…“霧”?」
しかしこのことを大巫女に報告せねばならず、実際に刃を交えたセレイアが適任として席を外すことになった。
「今の時間、大巫女様は王宮にいらっしゃっているはずだわ。ディセル、行きましょう」
「王宮?」
「ええ。この国では、神殿と権力を二分する王家の方々の住まいよ。重要な会議はこの王宮で行われるわ。大巫女様は国王陛下の相談役を仰せつかっているの」
王宮は水晶宮(クリスタルパレス)と呼ばれ、ガラスをふんだんに使った美しい建物だという。神殿からはほど近く、十数分の距離らしい。
しかし神殿の外に出た瞬間、セレイアが異変に気付いた。
山の高い位置にある神殿から見下ろす街。
その一部に、紫色の影のようなものが見える。
とても小さい、注意して見ていなければ見逃してしまいそうな影だ。
しかしセレイアは見逃さなかった。
それは彼女が間違いなく、街を守ろうと常に気を配っているからだろう。
「大変! “霧”だわ!!」
「…“霧”?」