麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
「もうそろそろ時間よ。
あ~あ、服がべちゃべちゃ。私たち、着替えないといけないわね。行きましょう」
「ええ、もう?」
「また時間を見て遊びましょうね」
ディセルは拗ねたような表情だ。しぶしぶといった様子で、屋敷に入るセレイアに続く。
「ほんと、ディセルはカワイイわ」
何の気なしの呟きを、ディセルはしっかり聞きとっていたようで、さらに拗ねたような表情になった。
「カワイイ? それ、褒め言葉じゃないけど」
その表情と声音がかわいいというのだ。
「ごめんごめん。でも、褒めてるのよ? ふふ」
屋敷の廊下を歩いていると、不意にセレイアの背中を冷たい何かが叩いた。
振り返れば、仕返しとばかりににやにやと笑うディセルがいる。足元には…崩れた雪玉。
「もう、ディセル? 雪を家の中にまで持ってくるなんて」
「持ってきてなんかないよ」
「じゃあどうして今―――」
セレイアのその言葉は途中で途切れた。
何も言えずに、セレイアはその光景をみつめるしかなかった。
「雪なんてほら―どこででも降らせられるだろう?」
幻…ではない。
頬にあたったそれは、確かに冷たいのだから。
けれど、なんというか、これをどうとらえていいのだろう。
奇跡…というか、ありえない、というか。
セレイアは今、室内にふわふわと雪が降る光景を見ていた。
それもディセルの身ぶり一つで、雪が降ってきたのだ。屋内だというのに!
ここは廊下で、窓はきっちり、閉まっている。
セレイアはごくりと生唾を飲みこんだ。
あ~あ、服がべちゃべちゃ。私たち、着替えないといけないわね。行きましょう」
「ええ、もう?」
「また時間を見て遊びましょうね」
ディセルは拗ねたような表情だ。しぶしぶといった様子で、屋敷に入るセレイアに続く。
「ほんと、ディセルはカワイイわ」
何の気なしの呟きを、ディセルはしっかり聞きとっていたようで、さらに拗ねたような表情になった。
「カワイイ? それ、褒め言葉じゃないけど」
その表情と声音がかわいいというのだ。
「ごめんごめん。でも、褒めてるのよ? ふふ」
屋敷の廊下を歩いていると、不意にセレイアの背中を冷たい何かが叩いた。
振り返れば、仕返しとばかりににやにやと笑うディセルがいる。足元には…崩れた雪玉。
「もう、ディセル? 雪を家の中にまで持ってくるなんて」
「持ってきてなんかないよ」
「じゃあどうして今―――」
セレイアのその言葉は途中で途切れた。
何も言えずに、セレイアはその光景をみつめるしかなかった。
「雪なんてほら―どこででも降らせられるだろう?」
幻…ではない。
頬にあたったそれは、確かに冷たいのだから。
けれど、なんというか、これをどうとらえていいのだろう。
奇跡…というか、ありえない、というか。
セレイアは今、室内にふわふわと雪が降る光景を見ていた。
それもディセルの身ぶり一つで、雪が降ってきたのだ。屋内だというのに!
ここは廊下で、窓はきっちり、閉まっている。
セレイアはごくりと生唾を飲みこんだ。