麗雪神話~麗雪の夜の出会い~

図書館での調べものの後、王都メルティア貴族街の食堂に昼食を食べに行こうと誘うと、ディセルは瞳を輝かせて喜んだ。

歩いて行っても大した距離ではないが、プミラにも何かしてあげたかったので、獣舎に向かう。

「この間はゆっくり紹介する時間がなかったから、改めて紹介するわね。この動物はプミールっていうの。この子の名前はプミラ。私が幼い頃から私の翼となってくれているわ。人懐こくて優秀よ。触ってみる?」

ディセルがおずおずと手を伸ばして首もとのふわふわの毛をなでると、プミラは嬉しそううに瞳を細めた。

セレイアは、プミールの歴史を簡単に紹介した。

プミールは、太古の昔から野生種として各地に存在していた。

各地方の気候に合わせて様々な種類があり、トリステアにいるのは寒さに強い純白の毛色のプミールだ。

アル・ラガハテス部族王国には暑さに強い赤い毛色のプミールが、空中庭園王国サティエイトには空駆ける能力に優れた青いプミールが、ジャングルの中にある帝国エイフォーティクには黄色と緑のまだら模様の、森を駆ける能力に優れたプミールが、それぞれ住み着いていた。

むろん、野生種であるため人には懐かなかった。けれど彼らの空を飛ぶ能力は貴重なため、人々は彼らと仲良くなるのに努力を重ねていった。

数百年前頃から、それぞれの国で人々の翼がわりになんとか飼育できるようになった。

今では温厚な性格の種を交配させていったため、プミラのように人懐こいプミールもちらほら見られるようになってきている。軍で飼われているプミールは皆きっちり調教されているため、温厚、という感じではない。
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