麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
「フリムヴェーラ、慎重に座って。少し、段差があるから…いいよ! 荷物は僕が」

「あなたこそ、段差には気を付けてくださいね」

「僕はいいんだ! 君が大切だから…」

「あなたったら」

二人は見ているこっちが恥ずかしくなるほどラブラブだ。

じっと見ていたディセルが一種の爆弾発言をした。

「クレメントは、フリムヴェーラに“恋”をしているの?」

当人の前で面と向かって聞くことではないだろう。セレイアがどうとりなしたものかと迷っていると、クレメントが赤面しながら答えた。

「そ、それは…その…は、ハイ…」

「なるほど……」

なぜかディセルは顎に手を当て、何かを考え込んでいる。

そんなやりとりをしているうち、料理が届けられた。

セレイアたちが頼んだものに加えて、フリムたちの頼んだ煮込みハンバーグやスープ、シチュー、紅茶セット、フルーツパフェまでがテーブルに並ぶと、壮観だ。

「フリムは二人分食べなきゃね! 今日は私がおごるから、どんどん食べて」

「セレイア様ったら。じゃあ、今日はお言葉に甘えますわ。でも、セレイア様もたくさん食べてくださいね。このパフェ、おいしそう…半分こしましょ?」

「いいわね!」

「俺、これも食べてみたい」

「ディセル様、よかったら僕のを食べますか? 今切り分けるので」

雑談をしながら、わいわいと過ごすひと時。

セレイアとディセルにとって、この日の昼食は思いのほか楽しい時間となった。
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