麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
2
数日後、ディセルの部屋に来客があった。
消え入りそうに控えめなノックの仕方は、セレイアとは明らかに違う。
「あの…ディセル様」
遠慮がちな声は、聞いたことがある。誰だったろう。
ディセルが泣き疲れた頭でぼんやり考えていると、その声は続けた。
「ディセル様。私です。クレメントです。どうか、ドアを開けてくださいませんか」
「…クレメント?」
なぜクレメントがこんなところに、と思ったが、きっと自分ではだめらしいと悟ったセレイアが、とにかくディセルを元気づけたくて、呼んだのだろうと思った。
セレイアの狙いは正しい。
クレメントなら、会っても構わないと思っている自分がいる。ちょっとの間共に過ごしただけだが、彼の誠実な人柄には信頼がおけると思っていた。それに、同じ男だ。
ディセルは、数日間閉ざされたままだった扉を、そっと開けた。
ディセルのやつれた顔を見ても、クレメントは別段驚かなかった。
クレメントの優しげで穏やかな顔を見ると、ディセルは突然何もかも話したい衝動に駆られた。
「…入っていいよ」
「ありがとうございます」
消え入りそうに控えめなノックの仕方は、セレイアとは明らかに違う。
「あの…ディセル様」
遠慮がちな声は、聞いたことがある。誰だったろう。
ディセルが泣き疲れた頭でぼんやり考えていると、その声は続けた。
「ディセル様。私です。クレメントです。どうか、ドアを開けてくださいませんか」
「…クレメント?」
なぜクレメントがこんなところに、と思ったが、きっと自分ではだめらしいと悟ったセレイアが、とにかくディセルを元気づけたくて、呼んだのだろうと思った。
セレイアの狙いは正しい。
クレメントなら、会っても構わないと思っている自分がいる。ちょっとの間共に過ごしただけだが、彼の誠実な人柄には信頼がおけると思っていた。それに、同じ男だ。
ディセルは、数日間閉ざされたままだった扉を、そっと開けた。
ディセルのやつれた顔を見ても、クレメントは別段驚かなかった。
クレメントの優しげで穏やかな顔を見ると、ディセルは突然何もかも話したい衝動に駆られた。
「…入っていいよ」
「ありがとうございます」