麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
「お嬢さん…名前は?」

「フリムヴェーラです。あなたは?」

「僕はクレメント。あの…また会えますか?」

「? 神殿に来てくださればいつでも会えますわ」

それからクレメントは仕事がなくても、白銀の神殿へ行くようになった。

そのたびにフリムの新しい魅力を発見していった。

勉強しすぎて寝過ごし、遅刻してしまった罰として廊下に立たされている間にも、聖句の暗唱をして勉強していた。

彼女の仕事への姿勢に、心打たれた。

白巫女となって姫巫女を支え、国を守っていくという彼女の大きな夢に、クレメントもしだいに共感していった。

それで父に頼んで、思い切ってクレメントも神官の道を歩むことにした…。

「ディセル様。
運命の女性とは、出会ったらすぐに、理屈じゃなくわかるものです。
誰にでもそういう人がいます。
きっと…神人であるあなたにも。
それが誰か…その答えがもしはっきりしているなら――
いえ、これ以上踏み込んだことは、私には言えませんね」
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