麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
第四章 果たされない約束
1
思い出す。
彼と約束した日のことを。
それは大切な大切な、…約束だった。
「子供が欲しいんだ」
セレイアが14の誕生日を迎えた時、ヴァルクスは真剣な瞳で語った。
いつも割と茶化したりふざけている彼にしては珍しいと思った。
「俺には兄妹もいないし…母も、俺を産んだ時に亡くなっているから、家庭と言うものがどういうものかよくわからないんだが。
あたたかい家庭をつくってみたい。
だから俺の子を…産んでくれないか」
心なしか彼の顔が赤い。
その照れくさそうな顔を、セレイアは愛しいと思った。
と同時に、セレイアは彼の何倍も照れてしまう自分をおさえられなかった。なんといっても、話の内容が内容だ。
「い、今すぐとか言わないでしょうね?」
おずおずと返すと、ヴァルクスは即答した。
「今すぐ」
「えっ!」
「…と、言いたいところだが、まだお前は子供だ。
もう少し待つつもりでいる」
そう言われてセレイアはほっとした。
ちょっと残念なような気もしたが。乙女心は複雑である。
「わかった。約束するわ。
いつかあなたの子を産む」
「本当か!?」
「本当の本当。私は約束を違えたりしないわ。
女の子がいいわね」
セレイアがうっとりとそう言うと、ヴァルクスが猛反対した。
「男の子がいい!」
セレイアもむきになる。
「女の子よ!」
「男!」
「女!」
ぷっと噴き出したのは、どちらが先だったろう。
二人は声をそろえて笑った。
彼と約束した日のことを。
それは大切な大切な、…約束だった。
「子供が欲しいんだ」
セレイアが14の誕生日を迎えた時、ヴァルクスは真剣な瞳で語った。
いつも割と茶化したりふざけている彼にしては珍しいと思った。
「俺には兄妹もいないし…母も、俺を産んだ時に亡くなっているから、家庭と言うものがどういうものかよくわからないんだが。
あたたかい家庭をつくってみたい。
だから俺の子を…産んでくれないか」
心なしか彼の顔が赤い。
その照れくさそうな顔を、セレイアは愛しいと思った。
と同時に、セレイアは彼の何倍も照れてしまう自分をおさえられなかった。なんといっても、話の内容が内容だ。
「い、今すぐとか言わないでしょうね?」
おずおずと返すと、ヴァルクスは即答した。
「今すぐ」
「えっ!」
「…と、言いたいところだが、まだお前は子供だ。
もう少し待つつもりでいる」
そう言われてセレイアはほっとした。
ちょっと残念なような気もしたが。乙女心は複雑である。
「わかった。約束するわ。
いつかあなたの子を産む」
「本当か!?」
「本当の本当。私は約束を違えたりしないわ。
女の子がいいわね」
セレイアがうっとりとそう言うと、ヴァルクスが猛反対した。
「男の子がいい!」
セレイアもむきになる。
「女の子よ!」
「男!」
「女!」
ぷっと噴き出したのは、どちらが先だったろう。
二人は声をそろえて笑った。