麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
2
それからというものセレイアは自由に王宮に出入りし、ヴァルクスと遊ぶことを許された。
どれだけ身近に接しても、彼は初めて会った時のようなわがままで横柄な態度を崩すことはなかった。
いつだって、エラそうなやつ。そんな印象だった。
だが、それだけではない。そう感じる出来事は多かった。
ある日、幼いながら料理人に教わって、一生懸命に作った弁当を持って遊びに行くと、
「いやだ。いやだったらいやだ。
俺は人参もなすびも食べない!
食べないったら食べない!」
と、セレイアより三つも年上のくせに、食堂にて好き嫌いでわめいていた。
「ヴァルクス、ええっと、お弁当を作ってきたんだけど…」
「弁当? お前が作ったのか?」
「うん」
ヴァルクスが嬉しそうに瞳を輝かせたので、セレイアは喜んで弁当を差し出したのだが…はたと気が付いた。
この料理、にんじんが大量に入っている…。
「でも…きらいなんでしょ、ニンジン。ごめん、知らなくて…お弁当、またつくってくるから」
「貸せ」
「あっ…」
ヴァルクスは大量の人参入り料理をその場でぱくぱくと口に運んだ。
「まずい! まったく、なんてまずい料理だ!」
そう毒づきながらも、ヴァルクスは人参も含めて弁当をすべて平らげてくれた。
セレイアはほんのりと心温まり、思ったものだ。
優しいなあ、と。
「ありがとう」
と礼を言うと、「別に」とそっぽを向く。
素直じゃない。でも好感が持てた。
どれだけ身近に接しても、彼は初めて会った時のようなわがままで横柄な態度を崩すことはなかった。
いつだって、エラそうなやつ。そんな印象だった。
だが、それだけではない。そう感じる出来事は多かった。
ある日、幼いながら料理人に教わって、一生懸命に作った弁当を持って遊びに行くと、
「いやだ。いやだったらいやだ。
俺は人参もなすびも食べない!
食べないったら食べない!」
と、セレイアより三つも年上のくせに、食堂にて好き嫌いでわめいていた。
「ヴァルクス、ええっと、お弁当を作ってきたんだけど…」
「弁当? お前が作ったのか?」
「うん」
ヴァルクスが嬉しそうに瞳を輝かせたので、セレイアは喜んで弁当を差し出したのだが…はたと気が付いた。
この料理、にんじんが大量に入っている…。
「でも…きらいなんでしょ、ニンジン。ごめん、知らなくて…お弁当、またつくってくるから」
「貸せ」
「あっ…」
ヴァルクスは大量の人参入り料理をその場でぱくぱくと口に運んだ。
「まずい! まったく、なんてまずい料理だ!」
そう毒づきながらも、ヴァルクスは人参も含めて弁当をすべて平らげてくれた。
セレイアはほんのりと心温まり、思ったものだ。
優しいなあ、と。
「ありがとう」
と礼を言うと、「別に」とそっぽを向く。
素直じゃない。でも好感が持てた。