麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
「そうだね」

「そうと決まればあなたの名前を決めなくちゃね! 私がつけてもいいかしら?」

「名前をつけてくれるの?」

うん、とまた笑う。彼女の笑顔はどうしてか、心にあたたかいものをくれるようだ。

空の青の瞳をめぐらせて、セレイアはしばらく考えている様子だったが、不意にぽんと手を打った。

「 “ディセル”…はどう?」

「麗雪(ディセル)…?」

「そう! あなたを見つけた時ね、雪の神様かと思ったのよ。銀色の雪が似合う、あなたにぴったりの名前だと思うわ!」

―麗雪(ディセル)。

―ディセル…。

何度か呟いてみると、実感が湧いた。

これが自分の新しい名前。

過去に背負って来た枷にとらわれない…新しい、名前だ。

「ディセル…ああ、いい名だ。ありがとう、セレイア」



かくして一人の少女と共に、彼―ディセルの新しい人生は始まったのだった。
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