麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
3
運命の歯車が狂ったのは、そう…一年半前のことだった。
セレイアとヴァルクスの二人は、トリステアの東の端、辺境の村ブールを訪れた。
そこで最近、紫ではなく謎の黒い霧が出て、何人も犠牲になっているとの報告があったためだ。
セレイアが浄化の力で人々を助けたいと言い張り、ヴァルクスは最初反対したが、結局彼が護衛に着くことを条件に折れた。
そこが辺境であろうとなんだろうと、民を守りたい気持ちは、ヴァルクスも一緒だったのだろう。
セレイアには今となってもわからない。
それが間違いだったのかどうか。
村に噂の黒い霧がたちこめたのは、到着した日の夕刻だった。
風車をまわし、ゴーグルを身に着け二人は人命救助に走った。用意してきた大量のゴーグルを配り、風上の屋内に避難誘導する。
事は順調に進んでいた。
しかしその時、逃げ遅れ泣きながらすがりついてくる子供を発見した。
ゴーグルはすでに配り終えてしまっていて、その子を守るものがない状態だった。
ヴァルクスが自分の身に着けたゴーグルを渡すのを、どうしてセレイアに止められたろう。
止めるべきだったのか。
わからない。
普通の紫の霧であれば、多少吸ってもすぐに浄化すれば問題はなかった。
だから判断を誤った。
すぐに二人も逃げるべきだったのに。
二人はしばし霧の中にとどまって、避難誘導を終えた。
霧が去ると、セレイアは人々に浄化の儀式を行った。
もちろんヴァルクスにも。
わからなかったのだ。
それだけでは不十分であったことが。
そして……悲劇は起こった。
セレイアとヴァルクスの二人は、トリステアの東の端、辺境の村ブールを訪れた。
そこで最近、紫ではなく謎の黒い霧が出て、何人も犠牲になっているとの報告があったためだ。
セレイアが浄化の力で人々を助けたいと言い張り、ヴァルクスは最初反対したが、結局彼が護衛に着くことを条件に折れた。
そこが辺境であろうとなんだろうと、民を守りたい気持ちは、ヴァルクスも一緒だったのだろう。
セレイアには今となってもわからない。
それが間違いだったのかどうか。
村に噂の黒い霧がたちこめたのは、到着した日の夕刻だった。
風車をまわし、ゴーグルを身に着け二人は人命救助に走った。用意してきた大量のゴーグルを配り、風上の屋内に避難誘導する。
事は順調に進んでいた。
しかしその時、逃げ遅れ泣きながらすがりついてくる子供を発見した。
ゴーグルはすでに配り終えてしまっていて、その子を守るものがない状態だった。
ヴァルクスが自分の身に着けたゴーグルを渡すのを、どうしてセレイアに止められたろう。
止めるべきだったのか。
わからない。
普通の紫の霧であれば、多少吸ってもすぐに浄化すれば問題はなかった。
だから判断を誤った。
すぐに二人も逃げるべきだったのに。
二人はしばし霧の中にとどまって、避難誘導を終えた。
霧が去ると、セレイアは人々に浄化の儀式を行った。
もちろんヴァルクスにも。
わからなかったのだ。
それだけでは不十分であったことが。
そして……悲劇は起こった。