麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
「いざという時…姫巫女として俺を、殺すことができるか」
何事もなく過ぎる日々の中で、突然ヴァルクスがそんなことを言い出したのを、よく覚えている。彼にはうすうすわかっていたのかもしれない。自らの運命を。
「何を言い出すの? そんな日は来ないわ。
私は、あなたを、守るの! 殺すなんてそんな、物騒なこと言わないでよ」
「…そうだな。悪い。俺はどうかしている」
「ヴァルクス…?」
この時感じた漠然とした不安。
それが形となって現れたのは、数か月の時が経ってからだった。
王宮で夜な夜な若い娘を標的とした連続殺人事件が起こるようになった。
女官たちが何人も、槍で一突きにされ絶命させられている、大事件だ。
セレイアたちは騎士たちと協力して犯人捜索を続けたが、はかばかしい成果は得られず、皆焦っていた。
そして殺人事件は街でも起こるようになってしまった。
当然民は皆不安がり、夜の商売にも影響が出はじめた。そこでとうとう犯人を逮捕するため、セレイアは自らによるおとり捜査を提案した。
騎士たちはしぶったが、最後には民のために承諾した。セレイアほどの槍の使い手であれば、犯人と渡り合えると騎士たちもわかっていたのだろう。むろん、彼らが離れて護衛につくことになった。
ぶあついコートの中に短槍を隠し、セレイアは夜の街を一人歩いた。
何事もなく過ぎる日々の中で、突然ヴァルクスがそんなことを言い出したのを、よく覚えている。彼にはうすうすわかっていたのかもしれない。自らの運命を。
「何を言い出すの? そんな日は来ないわ。
私は、あなたを、守るの! 殺すなんてそんな、物騒なこと言わないでよ」
「…そうだな。悪い。俺はどうかしている」
「ヴァルクス…?」
この時感じた漠然とした不安。
それが形となって現れたのは、数か月の時が経ってからだった。
王宮で夜な夜な若い娘を標的とした連続殺人事件が起こるようになった。
女官たちが何人も、槍で一突きにされ絶命させられている、大事件だ。
セレイアたちは騎士たちと協力して犯人捜索を続けたが、はかばかしい成果は得られず、皆焦っていた。
そして殺人事件は街でも起こるようになってしまった。
当然民は皆不安がり、夜の商売にも影響が出はじめた。そこでとうとう犯人を逮捕するため、セレイアは自らによるおとり捜査を提案した。
騎士たちはしぶったが、最後には民のために承諾した。セレイアほどの槍の使い手であれば、犯人と渡り合えると騎士たちもわかっていたのだろう。むろん、彼らが離れて護衛につくことになった。
ぶあついコートの中に短槍を隠し、セレイアは夜の街を一人歩いた。